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個人情報を持ち出し、わいせつ電話をかけた容疑で元自衛官が逮捕される~今や個人情報保護法は逮捕される法律です~

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プライバシーザムライ 中 康二です(オプティマ・ソリューションズ株式会社 代表取締役)。ソニー出身。プライバシーマークとISMSの専門家。個人情報保護/情報セキュリティに関して、最新の情報を皆様にわかりやすく発信しています。

(タイトル画像はテレビ大分の報道より)

皆さんこんにちは。
プライバシーザムライ中康二です。

報道によりますと、自衛隊の職員だった時に記録しておいた若い女性の電話番号を使用し、退職後、わいせつな電話をかけたとして、大分県別府市の男性(57)が、個人情報保護法違反の容疑で逮捕されたとのことです。今回はこの事件を取り上げて深掘り解説します。

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容疑者は何をしたのか?

今回逮捕された男性は、2024年まで自衛隊大分地方協力本部別府地域事務所の所長を務めており、在職中に、自衛隊への志願票から面識のない20代女性の携帯電話の番号をメモに写し取り、私的に持ち出したとのことです。そして退職後の2025年8月にその電話番号を使用して女性に電話をかけ、わいせつな言葉を発したとのことです。

個人情報保護法のどの条文が適用されたのか?

さて、上記の行為は、個人情報保護法のどの条文が適用されて逮捕されたのでしょうか?報道だけでは詳細な条文までは分からないのですが、報道内容から推測してみたいと思います。

個人情報保護法は、2022年4月の改正施行以降、国の責務などを記載した根本部分と民間事業者向け義務規定で構成されていた元々の内容に加えて、行政機関を対象とした義務規定の内容が追加され、一本化された大きな法律になりました。

現在施行されている個人情報保護法の第176条には、下記の罰則規定が記されています。

第百七十六条 行政機関等の職員若しくは職員であった者、第六十六条第二項各号に定める業務若しくは第七十三条第五項若しくは第百二十一条第三項の委託を受けた業務に従事している者若しくは従事していた者又は行政機関等において個人情報、仮名加工情報若しくは匿名加工情報の取扱いに従事している派遣労働者若しくは従事していた派遣労働者が、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された第六十条第二項第一号に係る個人情報ファイル(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を提供したときは、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。

長くて分かりにくいですが、重要な部分だけ読み取ると、「行政機関等の職員若しくは職員であった者などが、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された個人情報ファイルを提供したときは、二年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。」ということになります。

今回の容疑者の行為は、まさに「正当な理由がないのに志願票という個人情報ファイルからその一部を複製して持ち出した」ので、「二年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」にあたり、逮捕されたという可能性が高いと思います。

ただし、実は公務員を対象とした罰則にはもう一つ第180条もあり、下記の内容となっています。

第百八十条 第百七十六条に規定する者が、その業務に関して知り得た保有個人情報を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

こちらは、個人情報ファイル(個人情報をデータベース化したもの)に限らず、単純に行政機関が保有する個人情報であれば全てが対象となりますので、こちらが適用される可能性もあります。

民間企業の社員の場合はどうなる?

上記の「個人情報保護法第176条/180条」は、行政機関で働く人が対象となるものです。では民間企業で働く人の場合はどうなるのでしょうか?

同じく個人情報保護法の第179条には、下記の罰則規定が記されています。

第百七十九条 個人情報取扱事業者(その者が法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。第百八十四条第一項において同じ。)である場合にあっては、その役員、代表者又は管理人)若しくはその従業者又はこれらであった者が、その業務に関して取り扱った個人情報データベース等(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。

こちらも重要な部分だけ読み取ると、「個人情報取扱事業者若しくはその従業者又はこれらであった者が、その業務に関して取り扱った個人情報データベース等を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、一年以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金に処する。」ということになります。いわゆる「個人情報データベース等不正提供罪」と呼ばれている条項になります。

この個人情報保護法第179条(個人情報データベース等不正提供罪)が適用されて、民間企業の社員が逮捕されている事例は、実は結構あるのです。下記に過去の記事のリンクを貼っておきますね。

今や個人情報保護法は逮捕される法律です

個人情報保護法が始めて施行された2005年当時は、罰則規定が少なく、主に個人情報取扱事業者(=法人)が対象となっていました。法人なので、逮捕することも拘禁刑に処することもできないので、単に罰金があるだけでした。

しかし、その後、2017年改正施行で民間事業者向けの「個人情報データベース等不正提供罪」が追加され、個人情報保護法での逮捕事例がいくつか見られるようになってきました。そして2022年改正施行で行政機関の職員向けの罰則規定も追加されました。

いまや、個人情報保護法に違反することは、刑事罰として個人(公務員も民間企業の社員も)が逮捕される時代に入っている。
今回の事件の報道を目にして、そのことに改めて気づかされました。

元自衛官(57)を逮捕 20代女性に電話でわいせつな言葉をかけたか 個人情報持ち出した疑い 大分(テレビ大分)
https://www.youtube.com/watch?v=RCi6Pr9vg6E

個人情報保護法(e-GOV法令検索)
https://laws.e-gov.go.jp/law/415AC0000000057/20270401_506AC0000000060

(過去記事)
https://www.optima-solutions.co.jp/support_article/samurai-20230926/
https://www.optima-solutions.co.jp/support_article/samurai-20231116/

この内容が皆さんにとって何かの参考になればと思います。

また、何か情報が入りましたら、皆様にシェアいたしますね。

プライバシーザムライ
中 康二

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