みなさま、こんにちは。有限会社マイカのライター「秋葉けんた」です。味覚の秋を迎え、秋刀魚の美味しい季節となりましたね。今回の「分かりやすいセキュリティ用語集」は「個人情報に関する権利」です。

【個人情報に関する権利】

これまで「個人情報」について解説してきました。今回は「個人情報に関する権利」について解説します。この「個人情報に関する権利」については、「JIS Q 15001」の「3.4.4.1 個人情報に関する権利」という条項があるので見てみましょう。

—引用開始—
事業者は，電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成した情報の集合物又は一定の規則に従って整理、分類し、目次、索引、符合などを付すことによって特定の個人情報を容易に検索できるように体系的に構成した情報の集合物を構成する個人情報であって、事業者が、本人から求められる開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止の求めのすべてに応じることができる権限を有するもの（以下、3.4.4 において“開示対象個人情報”という。）に関して、本人から利用目的の通知、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止（以下、“開示等”という。）を求められた場合は、3.4.4.4 〜 3.4.4.7 の規定によって、遅滞なくこれに応じなければならない。（JIS Q 15001:2006　3.4.4.1 個人情報に関する権利より）
—引用終了—

少し分かりにくい文章ですが、簡単に言うと「個人情報の持ち主が、個人情報の開示、訂正、追加、削除、利用、提供の停止など要求をした際に、個人情報を預かっている事業者は、遅延なく対応する必要がある」という内容です。非常にシンプルなことを伝えているのです。

例えば、企業などに預けている個人情報に齟齬があった場合、個人情報の持ち主が損害を受けるケースが考えられます。そのような損害を与えないようにするためには、企業に預けている個人情報を本人が把握し、必要に応じて訂正を要求する必要があるでしょう。つまり、個人情報の持ち主は事業者に対して「開示」や「訂正」を求めることが必要になります。また、個人情報を預かっている事業者は、そのような要求に対して、適切に応じて行かなければいけません。もし事業者が、個人情報の持ち主からの求めを無視をすれば、この条項に違反することなってしまいます。

また、「事業者は、遅延なく対応」する必要はありますが、個人情報の持ち主の要求をすべて実施する必要はありません。この条項では、あくまでも、適切に対応することのみが求められているです。

なお、この「個人情報に関する権利」に欠かせないのが手続きです。修正や削除などを要求するにも、遅延なく応じるためにも、手続きが必要となります。そのため「申し出先、提出すべき書面の様式」「手数料」などは、あらかじめ決めておき、これらに則って、要求や対応をしていくことになるでしょう。

なお、上記規定が適用されない（開示対象個人情報でない）情報もあるので、紹介します。

—引用開始—
a)当該個人情報の存否が明らかになることによって、本人又は第三者の生命、身体又は財産に危害が及ぶおそれのあるもの

b)当該個人情報の存否が明らかになることによって、違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれのあるもの

c)当該個人情報の存否が明らかになることによって、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれのあるもの

d)当該個人情報の存否が明らかになることによって、犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序維持に支障が及ぶおそれのあるもの
—引用終了—

主に事件・事故・犯罪にかかわる個人情報については、開示などの対象にならないことが分かかります。個人情報は、非常にセンシティブな情報です。マイナンバーなどにより、その取り扱いにはこれまで以上に慎重を期す必要も出てきています。個人情報がどういうものなのか、ということだけではなく、その権利に関することも、きちんと把握しておく必要があるでしょう。

著：秋葉けんた（編集プロダクション「マイカ」に所属するIT専門のライター。オプティマ・ソリューションズのコンサルティングを受けて、自社内の個人情報保護体制を構築し、維持運用している。その中で「セキュリティの専門用語」を理解するのに困難を感じ、同じ課題を持つ方々への情報共有をしたいと考えて、この分かりやすい用語集を執筆している）
監修：中康二（オプティマ・ソリューションズ株式会社）

※イラストは「いらすとや」さんから頂きました。


【用語集動画】
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